
世界的デザイナー三宅一生氏が立ち上げた「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」のデザイナーを務める宮前 義之氏が来校。学生たちに向け、「デザインの本質」と「これからのものづくり」をテーマにした特別講義およびワークショップが開催されました。

宮前氏は「デザインとは色や形を整えることだけではなく、ものと人の間を心地よくつなぐこと」と語り、イッセイミヤケが自社を「ファッション会社ではなくデザイン会社」と位置づけていることを紹介。「届けるまでがデザイン」――作品をどのように見せ、どのように届けるかまでを意識することがデザインの本質であると説きました。
また、「完成させるのは着る人」という言葉を通じて、着る人が自身のライフスタイルの中でスタイリングを作り上げていく「余白」を持つ服作りの重要性についても語られました。

良いデザインは、いきなり描き始めるのではなく、徹底的なリサーチと「なぜ?」という問いから生まれると宮前氏は強調。イッセイミヤケでは全体の約8割の時間をリサーチ・探求に費やすと明かし、物事を複眼的・多角的に見る力がデザイナーに求められると説きました。
「リサーチを起点にデザインを構築する」という姿勢は、当校が掲げる「深層探求⇒概念化⇒言語化」の教育方針と深く重なるものであり、学生にとって自らの学びを再確認する時間ともなりました。

講義後半では、スチームをかけると縮む特殊な生地を用いたワークショップを実施。「デザインするとき、先に絵を描かない」と語る宮前氏は、素材と対話しながら形を見つけていくプロセスを実演し、学生たちも実際に手を動かして服の形を探る体験に取り組みました。

一枚の生地から何十通りものデザインが生まれること、手を動かすことで机上では思いつかないアイデアが生まれること――宮前氏のメッセージが、学生一人ひとりに深く伝わる時間となりました。
■学生へのメッセージ
宮前氏からは「先のことは誰にも分からない。大切なのは、自分の中にある直感を信じて行動すること」と、自身のキャリアを振り返りながら学生たちへ温かいエールが送られました。世界の第一線で活躍されているデザイナーから直接学べる貴重な機会となった特別講義。改めて宮前様に感謝申し上げます。
■宮前 義之 氏 プロフィール
A-POC ABLE ISSEY MIYAKE デザイナー。文化服装学院卒業後、株式会社三宅デザイン事務所に入社。2011年、ISSEY MIYAKEのデザイナーに就任。2021年より「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」のデザイナーを務め、テクノロジーと素材研究を融合した革新的なものづくりを推進。折り紙の原理とAIを組み合わせた「Type-V」、ソニーとの協業「Type-I」など、ファッションの枠を超えた異分野連携プロジェクトを多数手がけている。